ホワイトニングによって、歯が弱くなるのではないかという質問があります。
ホワイトニングで、歯が弱くなうことはありません。
牛の歯を使って、一日1時間ホワイトニングをやり、それを56日間連続で行って、歯の強度や構造に変化があったかどうか調べた論文があります。
その結果、歯の硬さ、柔軟性に変化はありませんでした。
構造は下の2つの画像のようになりました。歯の象牙質というエナメル質の中にある柔軟性や硬さ、知覚(冷たいものや痛みに反応すること)に関係する組織です。象牙質はパイプが何個も重なった形態をしています。
下の画像はそのパイプを、上から見た図です。ホワイトニングにより、パイプの穴が見えるようになってきてます。
下の画像はパイプを真っ二つに割った状態です。ホワイトニング14日後には、パイプの中が一時的に綺麗になってますが、56日後には沈着物が発生してます。
このような変化が認められるものの、硬さや柔軟性に変化はなかったとの研究結果が出ています。
以前のブログの記事で、歯の痛みに関して記載しました。象牙質の痛みは、パイプの中の組織液が動くことによって痛みや、しみを感じることを説明しました。このように、象牙質のパイプが一時的に綺麗になることによって、知覚過敏になり、ホワイトニングをするとしみやすくなるということになると考えられます。しかし、この論文から長期のホワイトニングにより、もしも、知覚過敏が起こっても、この沈着物が戻り、知覚過敏が落ち着く可能性があります。
ここで重要なのは、実験では、安全性が確保されたホワイトニング材で行っている点です。インターネットなどで、様々なホワイトニング材が出回っていますが、中には歯を弱くするような成分が入っているものもあります。是非、歯科医院で安心安全なホワイトニングを受けてください。
参考論文(上画像引用一部改変)
黒川弘康、大城麻紀、池田昌彦ら:ホワイトニング剤がウシ象牙質の弾性率およびヌープ硬さに及ぼす影響:日歯保存誌 50(6) : 681-687, 2007